大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成3年(ネ)4659号 判決

東京都新宿区百人町二丁目一七番一二号

控訴人

株式会社日本家庭教師センター学院

右代表者代表取締役

古川隆

右訴訟代理人弁護士

澤田保夫

東京都新宿区大久保一丁目一二番三号

被控訴人

株式会社トラスト教育社

右代表者代表取締役

若松典夫

右訴訟代理人弁護士

大石德男

主文

一  被控訴人は、控訴人に対し、別紙目録記載の図面を印刷、製本、販売、頒布してはならない。

二  被控訴人は、被控訴人所有の前項記載の図面を破棄せよ。

三  訴えの変更に係る請求についての訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。

四  この判決は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

主文一、二項と同旨の判決及び仮執行宣言

(なお、控訴人は、原審において、「(一)被控訴人は、控訴人に対し、「信頼の家庭教師」なるパンフレツトを印刷、製本、販売、頒布してはならない。(二)被控訴人は、被控訴人所有の右パンフレツトを破棄せよ。(三)被控訴人は、控訴人に対し、金一〇〇万円及びこれに対する平成三年九月一日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。」との判決を求めたが、当審において、(一)、(二)の請求につきこれを主文一、二項と同旨の請求に交換的変更をし、(三)の請求はこれを取り下げたものである。)

二  被控訴人

「控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は控訴人の負担とする。」との判決

第二  当事者の主張

一  請求の原因

1  控訴人は、昭和四六年に設立され、家庭教師派遣業務の草分けとして不動の地位を築き、今日に至つている。

被控訴人は、家庭教師斡旋の業務を営んでいる。

2  控訴人は、訴外社会行動研究所に対し、家庭教師や学習塾の利用等の実情等について調査を依頼したところ、同研究所は、右調査を実施のうえ、昭和五一年四月ころ、その調査結果をまとめ、著作権を取得した。

3  控訴人は、そのころ、右社会行動研究所に対し、金八五〇万円を支払い、右調査結果全てについてその著作権の譲渡を受けたが、右調査結果の中には、別紙目録記載の図面(以下「本件著作物」という。)も含まれている。

したがつて、本件著作物の著作権は、控訴人に帰属する。

4  控訴人は、昭和五一年四月ころから、その会社案内のパンフレツトに本件著作物を掲載している。

また、控訴人は、控訴人代表者である古川隆に本件著作物の使用を許諾し、同人は次の書籍を出版したが、それには、次のとおり、本件著作物が掲載されている。

(一) 昭和五二年六月一日 「わるい家庭教師よい家庭教師」一四頁

(二) 昭和六三年三月一〇日 「ふくろう博士・モト・がとれる塾・家庭教師利用法」 二一八頁

(三) 平成二年六月八日 「ふくろう博士の失敗しない学習塾・家庭教師の選び方」 三一頁

5  被控訴人は、平成三年ころ、その会社事業紹介のため、「信頼の家庭教師」と題するパンフレツトを作成頒布したが、それに併せて本件著作物をそのまま印刷して使用し、控訴人の本件著作物に対する著作権を侵害した。

6  よつて、控訴人は、被控訴人に対し、本件著作物の著作権に基づき、本件著作物の印刷、製本、販売、頒布の差止及び被控訴人が所有している本件著作物の破棄を求める。

二  請求の原因に対する認否

請求原因事実は全て認める。

第三  証拠関係

証拠関係は当審の訴訟記録中の書証目録記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

第四  判断

一  請求原因事実は全て当事者間に争いがない。

二  よつて、控訴人の被控訴人に対する本件著作物の印刷、製本、販売、頒布の差止及び被控訴人の所有する本件著作物の破棄を求める請求は全て理由があるのでこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九五条、仮執行宣言について同法一九六条の規定を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 竹田稔 裁判官 成田喜達 裁判官 佐藤修市)

目録

〈省略〉

図6 家庭教師・学習塾の利用の満足度

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例